室内空気質(IAQ)は、健康的なオフィス環境に不可欠です。しかし、現代の建物は効率化が進むにつれて気密性も高まり、IAQが悪化する可能性が高まっています。室内空気質が悪い職場では、健康と生産性に悪影響が出る可能性があります。ここでは、注意すべき点をいくつかご紹介します。
ハーバード大学の警告的な研究
2015年に共同研究ハーバード大学THチャン公衆衛生大学院、ニューヨーク州立大学アップステート医科大学、シラキュース大学による研究で、換気のよいオフィスで働く人は、危機対応や戦略立案の際の認知機能スコアが著しく高いことが分かりました。
6日間にわたり、建築家、デザイナー、プログラマー、エンジニア、クリエイティブマーケティングの専門家、マネージャーなど24名の参加者が、シラキュース大学の管理されたオフィス環境で作業を行いました。参加者は、従来のオフィス環境を含む様々な模擬建築環境を体験しました。高VOC濃度換気を強化した「グリーン」な条件と、人工的に CO2 レベルを高めた条件です。
緑豊かな環境で働いた参加者の認知パフォーマンススコアは、従来の環境で働いた参加者のスコアの平均 2 倍であることが分かりました。
劣悪な室内空気質による生理学的影響
認知能力の低下以外にも、職場の空気の質が悪いと、アレルギー反応、肉体的疲労、頭痛、目や喉の炎症など、より明白な症状を引き起こす可能性があります。
経済的に言えば、IAQの悪化は企業にとって大きな損失となる可能性があります。呼吸器系の問題、頭痛、副鼻腔炎などの健康問題は、欠勤率の増加や「プレゼンティーイズム」と言ったり、病気なのに出勤したりします。
オフィスの空気の質が悪くなる主な原因
- 建物の所在地:建物の立地は、室内の汚染物質の種類と量にしばしば影響を与えます。高速道路に近い場合、埃や煤粒子の発生源となる可能性があります。また、以前の工業用地や地下水位が高い場所に建てられた建物は、湿気や水漏れ、さらには化学汚染物質の影響を受ける可能性があります。さらに、建物内または近隣で改修工事が行われている場合、埃やその他の建設資材の副産物が建物の換気システムを通じて循環する可能性があります。
- 危険物: アスベストアスベストは長年断熱材や耐火材として人気があったため、今でも熱可塑性樹脂やビニール製の床タイル、アスベスト製の屋根材など、さまざまな素材に使われています。アスベストは、改築工事などでかき乱されない限り、危険ではありません。中皮腫や肺がんなど、アスベスト関連の病気の原因となるのは、アスベスト繊維です。繊維が空気中に放出されると、簡単に吸い込まれてしまいます。すぐに害を及ぼすことはありませんが、アスベスト関連の病気を治す方法はまだありません。アスベストは現在では禁止されていますが、世界中の多くの公共の建物にまだ存在しています。新しい建物で働いたり、住んでいる場合でも、アスベストにさらされる可能性は残っています。WHOによると、世界中で推定1億2500万人が職場でアスベストにさらされています。
- 換気が不十分:室内の空気質は、効果的で適切にメンテナンスされた換気システムに大きく依存します。換気システムは、使用済みの空気を循環させ、新鮮な空気と入れ替えます。標準的な換気システムは大量の汚染物質を除去するようには設計されていませんが、オフィス環境における空気汚染の軽減にはある程度貢献します。しかし、建物の換気システムが適切に機能していない場合、室内は負圧状態になりやすく、汚染粒子や湿った空気の侵入が増加する可能性があります。
出典: https://bpihomeowner.org
投稿日時: 2023年6月30日